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母音の位置 フルート モイーズ

 先日あるフルーティストの方が我が家にヒントを求めてこられました。曲を少し聞いたところでちょっと中断して、
モイーズ「24の旋律的練習曲と変奏」を少しやってもらいました。私のヒントは「この曲をヴォカリーズとして吹いて下さい」というものです。一つ一つが短いのでヴォカリーズ(母音唱)の練習としてはもってこいだと思ったからです。
この時のヒントがいつも言っている「母音は後ろ」という事です。つまりヴォカリーズとして練習するのであれば何となく歌うようにというだけでは変化はありません。ベルカントモードの母音の位置にしなければ意味のない練習になってしまいます。地声の母音の位置でいくら「歌うように」吹いたとしても効果は実感できないのです。

トランペットにもチコーヴィッツさんの「Flow Studies」とかボルドーニのヴォカリーズとかありますよね。これらも地声の位置でいくら吹いても響きが良くなるという事はありません。観念的に歌っているだけでは効果は分かりませんね。実際に歌う母音の位置で練習することによってヴォカリーズの練習で響きが良い方に変化するのです。観念的でなく肉体的にも「歌うように」吹く事が大事なのです。声は出していないけど歌っているのです。

そのフルーティストも途端に見事に変化し、楽に響く良い音に変化しました。笑顔で我が家を後になさった事は言うまでもありません。

皆さんはどう思われますか?

才能はあるけれど・・・

 沢山の生徒、学生を教えていると気がつきますが、器用な生徒、才能はあるのに伸び悩み、壁を越えられない学生がかなりの割合で存在することです。
音程感、リズム感はきちんとしています。音楽をやる基礎的な条件は悪くないのです。副科のピアノもそこそこ弾けたりします。絶対音感を持っている学生も結構います。
にもかかわらず、ある程度吹けるようになった後上手くいかなくなるのです。やる曲をグレードアップしても必ず行き詰まってしまいます。
このような学生は器用なので、音を「作る」のも上手いのです。バズィングでも粘膜奏法で吹けば簡単に出来ます。
唇で音を小細工して作るのも上手に出来ます。中、高吹奏楽の顧問にとっては取りあえず便利な生徒なので重宝します。
本人も重宝がられたりすると自分の欠点がどこにあるのかが分からないのです。ある程度の事は吹けるのに何故曲を
グレードアップすると必ず失敗するのか分からないのです。
音の「響き」「色」、音のアタリと息の流れ、フレーズと歌、等々器用なだけでは超えられないことが沢山あります。
「才能はあるけれど・・・」という学生も一人一人事情が違っているので、対応はそれぞれです。きっかけをつかむと
すっと前に行くのですが、そのきっかけをつかむまであきらめないでさらっていく気持ちが大事ですね。
皆さんはどうお考えですか?