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アンブシュアのお話

アンブシュアの話といえばフィリップ・ファーカスの説明がよく知られています。唇をすぼめる力と横に引く力が釣り合ったバランスが良いアンブシュアであり、どちらか一方が他の力に勝ってしまうとバランスが崩れるので上手くいかないという話です。二つの力が拮抗しているので中心点は力が抜けるという原理、原則的な話で、全くその通りなので頭ではすぐ理解できるのですが、アタマでわかったからすぐ明日からウマくなるわけでありません。実際に息を通しながらバランスを矯正し、次にマウスピースを唇に乗せて試し、音を出しながら上手くいくように練習を重ねるわけです。ファーカスの説明だけを頼りに上手くいけば幸運ですが、なかなかそんなに簡単ではありません。今どきの学生の中にはファーカスの名前も説明の中身も知らない人たちはたくさんいます。それとは別にあまり知られていないようですが、ギタラさんの説明があります。私はこの説明も実践的で役に立つと思っています。ちなみにアルマンド・ギタラ氏はボストン交響楽団で長く首席を務めたトランペット奏者でNYフィルのヴァッキャーノ氏門下です。同門にはスティーヴンス、マルサリス、フィリップ・スミス氏などがいますね。彼らのアンブシュアは共通点がありますよね。このギタラ氏の説明はずいぶん前のITGジャーナルに掲載されていたもので、ネット上にもありますから詳しくは見て頂く事として、要点は・・・
「初心者に楽器の持ち方やバズィングを教える前にアンブシュアのことを教えなさい」
「マウスピースなしでMの発音をするときのように唇を巻いて赤い部分が見えないようにしなさい」
「その状態で唇の中心部からピーと息を通しましょう」
「この練習がうまくいったらMの発音バランスの唇にマウスピースを乗せます」
「そしてバズィングなしでこの状態の唇に息を通しなさい」
「この練習に慣れてきたら初めて楽器にマウスピースをつけて音を出す練習をします」
「Mの発音練習から始まるこの練習では第二線のGかそれ以上の音を出しなさい」
「それより低い音は四、五日の間は出しません。そしてその後ようやく唇を巻く事を止め音域を上下に拡げます」
「初心者に最初にCのような低い音は吹かせません」
「音域の広さ(高音)や耐久力の課題を生じさせない為に役に立つ方式です」
以上のようにギタラさんは初心者に「粘膜奏法」になってもらいたくないので大変神経を使いながら教えているわけです。
皆さんはどのようにお考えでしょうか?