この音だと校内オーディションに落ちます

  管楽器の音の本体は「管の中の空気の振動」であり、唇、リードの振動音は「汚い」とか「きれい」とか「華やか」とか「重い」とか様々な音色を左右する要素として意識するほうが吹きやすくなる。という説明をした時に五人ぐらいの学生が「楽になった」とか「吹きやすくなった」とか言い始めました。音の本体が唇にあるという意識を持って吹いている学生がかなりいるという事です。アタリと響きを聞きながら吹くという意識がないので楽に響くという大事な事が出来ないのです。このような学生の場合、意識しているのはベルの先の音という場合が多いですね。管の響きではなくベルの先の音を聞きながら吹いている学生は唇で音色を作るわけです。ほとんどの場合唇は開いています。従ってバテやすく、高い音は詰まってしまいます。しかし、解決の糸口が見つからないながらも何とかしたいと願いつつ懸命にサラッています。自分の音のアタリと響きを聞きながら吹いている人は他人の音を聞く時もアタリと響きを聞いています。なので、オケでも何でも合奏の時に困りません。木管楽器でも弦楽器でも打楽器でも響いた瞬間を合わせるのでアインザッツが合うわけです。響きを合わせるのでハモる事が出来ます。合奏の時間も両者のちがいは大きな差を生んでいます。

このような説明によって「楽に響くし高い音も出しやすいです」と言いながらも何となく納得していない顔をしている学生が一人いました。「なんか納得していないね、何か気に入らない事があるの?」と聞いてみました。なんと「すごく楽になったんですけど、この音だと○○高校のブラスの校内オーディションに落ちます」という答えが返ってきました。思わず腹を抱えて笑ってしまいました。あまりにもわかりやすい答えですね。○○高校というのはコンクールの全国大会常連の有名校です。ブラスの世界では相変わらすちょっと変わった価値観が支配しているようです。
皆さんはどうお考えですか?